着磁とは
元々磁石には磁力はありませんので、製作過程で「着磁」という工程があります。 この着磁工程とは磁石に磁力を帯びさせる(磁化)工程の事で、 着磁の方法は磁界の中に磁石を置く事で磁力を帯びさせます。
着磁に必要なのは、代表的な物では空芯コイルと電流です。 空芯コイルとは、電線を巻いたコイルに電流を流す事で 磁界を発生させる装置の事です。
ですが、この空芯コイルだけでは電流を発生させる事が出来ないので、 短時間で大きな電流を発生させる着磁電源装置を使用します。 空芯コイルの巻線に、着磁電源装置で発生させた電流を流す事で、 磁界を発生させ磁石に磁力を帯びさせているのです。
ただし磁石の磁力には限界があり「飽和点」が有ります。 この飽和点を超えた状態で強力な磁界を与えたとしても、 それ以上強力な磁力を持った磁石にはなりません。
その為、磁石には様々な種類があるのです。
磁石の歴史、天然磁石と人工磁石
諸説ありますが、磁石の発見は紀元前に古代ギリシャで、 金属の道具にくっ付いた鉱物が磁石の始まりと言われています。 この天然の鉱物、偶然雷などが当たった事で磁化され道具にくっ付いたと、 考えられています。いわゆる天然磁石です。
ですが普段、見かける磁石は人工的に作られた磁石が多く天然磁石は滅多に見かけません。 自然界に存在する天然磁石は、極めて希少な存在なのです。
天然磁石を歴史的にみると鉄を吸い付ける鉱石がギリシャのマグネシア地方、 中国の慈州の慈石が発見された程度です。 そこから1600年以降、人工的に磁石が作られる様になってからは 本格的に人類が使用し始めたのです。
当初は、天然磁石に磁化されていない鉄を擦りつける方法で、 磁化させていたと言われています。 1800年代ごろから電流を用いて磁石を磁化させていきました。 この電流を用いて磁化させる方法は、現在でも主流となっています。
*マグネシアはマグネットの語源 *慈積は磁石の語源
磁石のN極とS極
磁石にはN極とS極が存在しています。 N極とS極は引き合い、同じ極では反発し合います。 このN極とS極は、北(North)、南(South)に それぞれが向く事から由来しています。
ではなぜ、北と南に向くのでしょうか。 それは、地球の磁力と磁気の通り道が一致するからです。
分かりやすく解説すると、地球の中心には大きな磁石が存在し「地磁気」 と言われる磁力線が地球全体に流れています。 その為、方位磁石を地表に置くと、磁力線の流れに沿ってN極が北の方角を指すのです。 地球の回転軸を棒磁石の様に考えてみると、 北極はS極、南極はN極となり、方位磁石のN極は北(S極)を指します。
ちなみに、国や地域によって方位磁石の作りは異なり、 北半球用と南半球用に分けられています。 その理由は、方位磁石の指針は水平ではなくてはなりませんが、 実際は地球の回転軸は約23度傾いている事が影響を及ぼし、 普通にしていては水平にならない為です。 水平を保つ為に方位磁石の指針に重りを付け水平になる様に バランスを取っていますが、 この重りは北半球と南半球では違うのです。
*地球の中心に磁石が存在する為、北へ行くほど方位磁石の指針が下を向いてしまうのです。
磁石の性質
磁石が鉄にくっ付く理由
磁石は微粒子状の磁石一つひとつで形成され、 微粒子全てがN極とS極が同じ方向に向いている事で、 磁力を保ち続け磁石となるのです。
*磁化方向 異方性と等方性の中で図解しています。
鉄は強磁性体といい、鉄の原子は永久磁石になっています。 ですが鉄の原子の向きは常にバラバラになっている為、 互いに原子の磁力打消しあっています。
そこに磁石を持ってくることで、 鉄の原子が一時的に反応し同じ方向へ向く事で磁石と鉄はくっ付くのです。 磁石を離す事で、鉄の原子は元のバラバラの方向に戻り磁力を無くします。
磁石を切断しても新たな磁石
磁石は切断をすると新たにN極とS極が生まれ、2つの磁石になります。 これは1つの磁石を形成する、 粒子状の磁石は規則正しく並んでいる事で、 磁石内部のN極とS極が互いに打消しあっていますが、
切断する事で断面は打消し合う事が無くなり、 断面が極性を持つ事で新た磁石となるのです。 例えどんなに細かく切断をしても新たな磁石が生まれます。
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